プレゼント第二弾のお話。

はいはい、性懲りもなくご!糸菊さんです(廿ω廿)ノ

何か続編を望まれたので…続編というよりは裏話的なものなのですけどねw

昨夜馨しゃんと直央ちゃんと撮影会(という名の単なる雑談)をしていたのですが、この2人は公私ともに遊んでくれて世話にもなっていて、お見世でも真面目にやっていてくれて。

何か恩返しができないかなーと思って普段は何かを押し付けプレゼントするのですが、毎回それじゃ能が無いなと思って加工画像とSS(ショートショート)をプレゼントしたんです。

馨しゃんのは1個前のブログ記事見てね!

直央ちゃんにあげたのは、これでした。またもや題名クリックでとてつもなく痛々しい文才ゼロの記事に飛ぶよ!


猫の恩返し






勝手な妄想&設定で彼は箱入り猫、元々飼い猫じゃない事にしました。と、いうのも遊廓で働いてる子が順風満帆に人生歩んできた人間じゃつまんないという私の勝手な考え。

続編を!と望まれたのでもう少し詳しく書いたものを載せてみる。以下長いのでランキングバナーの後折りたたんでみる。物好きさんだけどうぞ!


寮でリア充ごっこした時の写真も載せておこう。




であ!(廿ω廿)ノシ

♪メーラメーラとー焼き尽くせ―
隅から隅までそーのー業火で
あとかーたもー残らぬよう―紅蓮の炎で焼き尽くせ―
(アルルの女の節で歌ってどうぞ)
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あらすじと書けなかった部分のサイドストーリー的なもの



彼は冷たい雨の降るある日に親兄弟とはぐれてしまい、たまたま見世を抜け出してこっそりと散歩をしていた小見世の太夫の目に止まりました。
人間の食い扶持だけでやっとで猫なんて養う余裕はないかもしれない、皆に反対されてまた捨てて来いと言われるかもしれない。

それでも彼女は雨に濡れ震える子猫を放ってはおけず抱き締め見世に連れて帰ります。着物は雨に濡れ、泥だらけの子猫が楼の沢山の人間の視線に恐怖し心細さで爪を立てしがみついたので着物はもう使い物になりません。

呆れる番頭に、必死に彼女はこの猫をうちで飼いたいと訴えます。熱意に負けたのか、どうせ幾ばくも生きないだろうと高をくくったのか少々気難しい楼主と自由気ままな遊女にいつも板挟で振り回されている番頭は首を縦に振りました。

濡れているさまが哀れだと思ったのか、彼は自らが首に巻いていたストールで猫の体をゴシゴシとこすり乾かし始めました。もうこれは使いものにならねぇな、と苦笑いを浮かべながら。

「今日からお前はうちの子だよ」

誰からとも無く、優しい声が上がりました。
子猫とともに雨に濡れ泥にまみれた姿は、太夫らしからぬ姿では有りましたが太夫を慕う散茶はその姿を微笑ましく見ておりました。「ぬしさんがたがご登楼されんす前に、太夫も身だしなみを整えんとなぁ」とクスクスと楽しそうに笑いながら風呂場へ連れ立って。

泥をすっかり落とされた子猫は、思いの外真っ白で長めの毛並みの美しい猫だったので番台の近くに招き猫代わりに番頭と座ることとなりました。暇さえ有れば、構ってくれて遊んでくれる番頭に子猫はとても良くなつくようになりました。

子猫の寝床には、太夫の着物で作った座布団と番頭のストールが毛布代わりに置かれました。何度か洗濯をしようと試みたものの、普段おとなしい子猫はその度に小さな体の毛を逆立たせ威嚇をするので見世の人間はそれを諦めました。

まるで「二人の匂いが消えちゃう」と言うように。

それから幾年月。すっかり成猫に成長した彼は毎夜丸くなって眠る前に、空に輝くお月様にお祈りをしました。優しくしてくれる皆に、恩返しがしたい。ボクが人間になれたら、お店の手伝いができるのに、と。

下らぬ戯言だということは彼自身とても良く分かっています。暫く月を眺めた後、小さく溜息を吐いていつもの寝床に向かおうとしたところ、ふとした思いつきで布団部屋で寝ることにしました。
非日常感に気分は高揚したものの、眠気には抗えずいつしか彼は眠りにつきました。

━━━━願いを叶えてやろう━━━━

あの日見た、親兄弟とはぐれるきっかけの車のライトのような光の中から靄に包まれたような声が聞こえ目が覚めた彼は今まで感じたことのない寒気に驚きます。
いつものように目をこすり、身づくろいして気分を落ち着けようと座り直すと、自らの手が人間のそれになっていることに気が付きました。

慌てて一番なついている番頭の部屋に駆けて行き、布団の上に覆いかぶさり彼は歓喜の声をあげました。

「兄さん兄さん!ボク人間になれたにゃん!」

まだ真夜中、寝入りばなを起こされたのか不機嫌そうに目を開けた番頭が、彼の姿を見て目を大きく見開いた。一瞬不審者かと眉根を寄せるも、頭上に鎮座する白い耳と毛の長い尻尾には見覚えが有ったのか番頭が表情が和らいだ。

「直央くん…か。人間になれたんだなぁ」大きな手で頭を撫で微笑むと、彼が裸なことに気が付きました。元々猫だったから当然か、と苦笑いを浮かべて「俺の部屋でよかったな」と彼に自らの着物を着せ付けました。勿論、サイズは全く合わないもののそれを着せられた彼はとても嬉しそうで、満足そうで。

でも神様は少し意地悪だ。皆と違う言葉遣いの上手く回らない舌と、猫だった証の耳と尻尾はいつ消えるのだろうか。中途半端だにゃん、と呟き夜空を睨みつけると、大きな三日月が笑っていた。


非日常的な世界の、とある遊廓の飼い猫が人間になった不思議なお話。

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